転倒予防

転倒しても骨が折れないようにするために骨粗鬆症治療が行われます。逆を考えると机上の空論かもしれませんが、転倒を予防する事ができれば骨が弱くても骨折を予防する事ができます。

交通事故死は、かつては年間15,000件あまりでしたが、法律の改正、全国の地域社会全体での交通安全キャンペーンの拡充、学校での交通安全教育の普及など社会全体での対策を継続した結果、約20年の間に年間5,200件にまで減少しました。

一方、転倒・転落数はこの20年間で特段の増加現象が見られるわけではないですが、次第に増大し、年間8,000件あまりとなり、近年は交通事故死を上回る状況となっています。

転倒・転落死は交通事故死よりも多い

1995年 2016年
交通事故死 15,000人強 5,278人
転倒・転落死 6,000人弱 8,030人

厚生労働省:2016年人口動態統計より

転倒の予防には転倒しない体をつくることが重要で、筋力増強やバランス・歩行・柔軟訓練などがあります。またその他の環境因子として服薬・食事指導、環境整備、行動変容などがあります。転倒しない体と転倒の原因を排除した環境作りが大切です。

転倒リスク(内的因子)の寄与度

属性
年齢 +10歳で1.2倍
性別 女性で1.8-2.1倍
転倒経験 転倒経験者で2.0倍
尿失禁 1.6倍
機能制限 1.5-1.9倍
移動能力制限 2.5倍
身体機能の低下(加齢・運動不足)
身体機能の低下 2.0倍
筋力の低下 4.9倍
下肢筋力の低下 2.9-3.8倍
バランス障害 3.2倍
歩行能力の低下・歩行障害 1.2-3.6倍
視覚障害 1.4-6.0倍
聴覚障害 1.5倍
フットケアが不十分 1.8倍
身体的・精神的疾患の合併
脳卒中 1.7倍
起立性低血圧 13.0倍
複数の慢性疾患を合併 1.8-2.0倍
パーキンソン症候群 1.9倍
認知障害 2.2-5.0倍
うつ病 1.3-1.6倍
関節炎 1.4倍
末梢神経障害 17.0-23.0倍

武藤芳照,太田美穂,長谷川亜弓,他:転倒予防.臨床整形外科40(5):537-548,2005

  • 転倒しやすい場所に注意しましょう。
  • 転倒しない環境を整えましょう。

転倒予防学会

転倒し易い場所:ぬか漬け(ぬ・か・づけ

  1. れている所
  2. いだん・段差
  3. づけていない所

住宅内の転倒予防:良い住宅(よ・い・じゅ・う・た・く

  1. い高さに物を置く
  2. ま(居間)の整理
  3. じゅうたんの端は固定
  4. いた踵の履き物注意
  5. んさ(段差)と床は区別
  6. らい場所には関節照明

転倒しても骨折しない工夫

ヒッププロテクター

転倒しても骨折しないように骨粗鬆症の治療を行うわけですが、骨粗鬆症の治療を開始しても効果が出るまで約半年程度が必要と言われています。

ヒッププロテクターはパッドの入った衣類で、転けたときに衝撃を吸収し、骨折を予防してくれます。骨折の危険性を25-63%低下してくれます。

 

転倒予防学会の書籍から作成